新たな在留資格「特定技能」人材を受け入れる事業所は、その外国人材が
日本で安定した生活基盤を築くことができるよう支援する義務があります。
全ての事業所が無条件で特定技能外国人材を雇用することができるものではなく、
「支援体制」が求められています。
外国人材の支援体制
「特定技能」在留資格は、技能試験や日本語検定(N4以上)に合格すれば
在留資格を申請することができますが、本人がこの要件を満たしたとしても、
事業所に支援体制がなければ在留資格は許可されません。
支援体制には基準があり、主に以下のとおりです。
①これまで就労ビザを有する外国人を雇用した実績がある
②就労ビザを有する外国人の生活相談の経験がある職員がいる
③外国人材が理解できる言語での苦情、相談体制がある(通訳の確保など)
(※①か②いずれかに該当することに加え、③に該当すること)
他にも細かな基準はありますが、上記の要件を満たす場合は「支援体制」が
認められると考えて良いでしょう。
弊所に多く相談が寄せられるケースですが、外国人留学生をアルバイトとして
雇用している事業所がそのアルバイトスタッフを正社員として採用したい場合、
本人が試験に合格しても直ちに特定技能ビザが許可されるものではありません。
在留資格「留学」は上記基準の「就労ビザ」には該当しないため、外国人雇用の
実績や生活相談の経験として認められないのです。
それでは、外国人雇用の実績がない事業所は特定技能外国人材を雇用することが
全くできないのかというとそうではありません。
①外国人材の生活相談などの経験がある者を新たに雇用すること(常勤が必須)
②登録支援機関に支援を委託すること
以上のいずれかの方法が考えられます。
登録支援機関とは、法務省令で定める基準を満たす支援体制があり、入管庁に
登録された民間の組織です。
自社で外国人雇用の実績等がない場合は登録支援機関に支援の委託をすることで、
特定技能外国人材を雇用すること(在留資格認定申請)が可能になります。
在留資格認定申請には、「1号特定技能外国人支援計画」のほか、
規準を満たす雇用契約や生活オリエンテーションなどが必須になります。
申請書類はこれまでの就労ビザに比べると遥かに複雑です。基準から外れる申請書を
提出すると「認定拒否」となる可能性が高いです。
日本社会との共生
特定技能外国人の生活安定のため「日本社会との共生」という大きなテーマが
掲げられており、行政機関等に相談窓口等の設置が進められています。
外国人材の生活支援は行政が整備する基盤が重要であることは確かですが、
受入事業所は、より直接的な支援体制が求められることを知っておくことが大切です。
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