在留資格「特定技能」に国籍の制限は原則ありませんが、技能実習修了者又は技能評価試験等の合格者に申請資格が認められるため、対象国は一部に限られているのが実情です。
日本は、これらの対象国と特定技能人材送り出しに関する取り決めを進めています。内容は相手国により異なりますが、共通する点は「悪質な仲介業者や受入れ事業所」の排除を目的としています。
国により異なる送出しの流れ
2019年8月現在、アジア地域8か国と二国間協力覚書の作成が完了しています。
労働者保護の制度は国によって様々ですから、二国間覚書は各国の政策や法制度等を踏まえた内容になっています。例えば、ベトナムから特定技能人材を受け入れる場合、ベトナム政府が認める機関が作成した「推薦者表」に搭載された者のみを受け入れること、となっています。インドネシアの場合は、日本側の受入れ企業の求人情報を、インドネシア政府機関経由で公開することとされています。
特定技能人材を受け入れるためには、相手国のルールに沿った手続きを進める必要があることを知っておかなければなりません。国によっては、この協力覚書に基づいて新たな制度導入を始めています。
入管庁の対応
二国間協力覚書は作成されたものの、相手国の制度設計や導入が整っていない国もあります。日本の入管庁は、現時点で相手国側の人材送り出し制度が整備されていない場合であっても、改正入管法が定める「特定技能」の要件を満たしている場合は申請を受理する(要件を満たせば認定)としています。
各国の送り出し制度が整い適用され始めると、日本においても新たなルールに則った審査がなされることになりますので、現状と今後とでは取扱いが大きく異なってくることを想定しておかなければなりません。受け入れを検討している人材の国がある程度決まっているのであれば、その国の労働者を所轄している省庁等の情報に注目しておくことが必要です。
特定技能の在留資格申請は、一般的な就労系ビザとは全く異なりますので、人材受入れまでのスケジュールには余裕をもたせることをおすすめします。
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